はじめに | 同居していないと家族になれない?
「結婚しているのに一緒に住んでいないなんて、意味があるの?」
「子どもがいるのに、物理的に離れていて大丈夫?」
別居婚に対しては、こうした疑問や不安の声が少なくありません。
たしかに、別居婚はまだ少数派です。だからこそ、「家族の絆は本当に築けるのか?」という問いは、当事者にとっても、これからその選択を検討する人にとっても非常に重要です。
この記事では、同居していないからこそ意識的に取り組む工夫や、そもそも「家族の絆とは何か?」という視点から、別居婚における絆形成の可能性について論理的に考察します。
絆は「日々の関わりの質」によって築かれる
絆とは、単に物理的な距離によって決まるものではありません。実際、同居していてもすれ違いや孤独感に悩む夫婦も多く存在します。重要なのは、「お互いのことを思いやり、適切な頻度と方法で関わり続けられるかどうか」です。
別居婚では、距離がある分、日常の報告や予定の共有、気持ちの確認などを意識的に行う必要があります。たとえば、電話やメッセージの頻度も、お互いが心地よいと感じられるペースであれば問題ありません。頻度の多さではなく、「伝えようとする姿勢」が絆の源です。
よくある懸念とそのカウンター
「すれ違いが起きやすいのでは?」 → むしろ意識的に関わる習慣がつく
すれ違いは、同居でも別居でも起こりえます。大切なのは、「日々の思いを共有する文化」を家庭内にどう築くかです。別居婚では、会える時間が限られる分、その時間を大切にしようという意識が自然と高まり、密度の濃いコミュニケーションが育まれます。
私たちも最初は「一緒にいない分、こまめに連絡しなきゃ」と構えていましたが、今は「共有したいときに共有する」ほうが自然だと気づきました。何でもない日常を送り合うことが、かえって絆につながっている気がします。
「子どもとの関係が築きにくくない?」 → 一緒に住んでいても、関係が希薄なケースはある
父親または母親が単身赴任などで離れて暮らしている家庭は珍しくありません。子どもと物理的に離れていても、関わろうとする意志と行動があれば、信頼関係は築けます。逆に、同居していても子どもの成長に関心を示さなければ、関係は深まりません。
夫は毎週末に子どもと過ごすために長距離移動してくれます。おかげで子ども私のお父さんだと自然に感じているようです。
「困ったときに頼れないのでは?」 → 自立が前提、でも「いざというとき来てくれる」信頼はある
別居婚は、ある程度の生活力・精神的自立が求められるスタイルです。そのぶん、相手に依存しすぎず、感謝と信頼の関係が育ちやすいとも言えます。また、「駆けつけてくれる」という経験は、絆を実感する大きな機会になります。
出産時はひとりで病院に行きましたが、陣痛中はずっと電話で夫が付き添ってくれました。その後すぐに駆けつけてくれて、産後の数日間は一緒に過ごせたことが今でも大きな支えになっています。
絆を感じられる別居婚にするためにできること
コミュニケーションの設計を二人で決める
頻繁な連絡が正解とは限りません。大事なのは、お互いがストレスを感じず、かつ必要な情報や感情をしっかり共有できる頻度・方法を話し合うことです。
例:週1回は電話、日々の写真を共有、ToDoアプリを使うなど。
会える時間に全力投球する
限られた時間をただ「消化する」のではなく、「どう過ごしたいか」を共有することが大切です。イベント的に楽しむ日もあれば、日常的な買い物や食事をゆっくり楽しむ日も。計画やサプライズの積み重ねが絆になります。
月に1~2回の再会でも、「一緒にどんな時間を過ごしたいか」を考える習慣がついたことで、関係はむしろ深まりました。何気ない散歩も、二人にとって大切な時間になっています。
子どもとの関わり方を工夫する
たとえ一緒に住んでいなくても、ビデオ通話で読み聞かせをしたり、子どもと一緒に過ごす日を特別に設けたりすることで、愛着や信頼は育ちます。育児の負担が偏らないよう、金銭的・精神的なサポートも忘れずに。
結論 | 絆は「選択」と「行動」で築ける
別居婚でも、家族の絆は十分に築けます。ただし、それには「距離があるからこそ、どう関わるかを一緒に考える」姿勢が欠かせません。
物理的な距離はあくまでひとつの条件にすぎません。大切なのは、「どう生きたいか」「どうありたいか」を夫婦で共有し、日々選択していくこと。その積み重ねこそが、家族というかけがえのない関係をかたちづくります。
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